日本オートビジネス協同組合

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介護技能実習制度の概要

技能実習制度へ「介護」の職種が追加となり、“技能実習「介護」における固有要件について”平成29年11月厚生労働省より発表され「介護」職種の 技能実習制度がスタートします。以下にその概要を説明します。

  1. 「介護」の業務内容・範囲
  2. 適切な公的評価システムの構築
  3. 「介護」技能実習生の受け入れ要件
  4. 技能実習生に関する要件
  5. 技能実習生の職歴要件
  6. 実習実施者・実習内容に関する要件
  7. 監理団体に関する要件

「介護」の業務内容・範囲

一定のコミュニケーション能力の習得、人間の尊厳や介護実践の考え方、社会のしくみ・こころとからだのしくみ等の理解に裏付けられた以下の業務が移転対象となります。

  • 必須業務=身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)
  • 関連業務=身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)
  • 周辺業務=その他(お知らせなどの掲示物の管理等)

適切な公的評価システムの構築

各年の到達水準は以下となります

  • 1年目:指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル
  • 3年目:自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル

「介護」技能実習生の受け入れ要件

  1. コミュニケーション能力の確保
    1. 1年目(入国時)は「N3」程度が望ましい水準、「N4」程度が要件。2年目は「N3」程度が要件
      (参考)

      「N3」:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる

      「N4」:基本的な日本語を理解することができる(日本語能力試験:独立行政法人国際交流基金、公益財団法人日本国際教育支援協会が実施)

  2. 適切な実習実施者の対象範囲の設定
    1. 「介護」の業務が現に行われている事業所を対象とする(介護福祉士国家試験の実務経験対象施設)ただし、技能実習生の人権擁護、適切な在留管理の観点から、訪問系サービスは対象としない
    2. 経営が一定程度安定している事業所として設立後3年を経過している事業所が対象
  3. 適切な実習体制の確保
    1. 受入れ人数枠
      受入れることができる技能実習生は、事業所単位で、介護等を主たる業務として行う常勤職員(常勤介護職員)の総数に応じて設定(常勤介護職員の総数が上限)
    2. 技能実習指導員の要件 
      技能実習生5名につき1名以上選任。そのうち1名以上は介護福祉士等
    3. 入国時の講習 
      専門用語や介護の基礎的な事項を学ぶ
    4. 夜勤業務等
      利用者の安全の確保のために必要な処置を講じる
  4. 監理団体による監理の徹底
    1. 監理団体の役職員に5年以上の実務経験を有する介護福祉士等を配置
    2. 「介護」職種における優良要件は「介護」職種における実績を基に判断

技能実習生に関する要件

  1. 第1号技能実習(1年目)
    日本語能力試験のN4に合格している者、その他これと同等以上の能力を有すると認められる者※1であること
  2. 第2号技能実習(2年目)
    日本語能力試験のN3に合格している者、その他これと同等以上の能力を有すると認められる者※2であること

※1 日本語能力試験との対応関係が明確にされている日本語能力を評価する試験
(例「J.TEST実用日本語検定」「日本語NAT-TEST」)における日本語能力試験N4に相当するものに合格している者

※2 上記と同様の日本語能力試験N3に相当するものに合格している者

技能実習生の職歴要件

同等業務従事経験(いわゆる職歴要件)については例えば、以下の者が該当する

  • 外国における高齢者若しくは障害者の介護施設又は居宅等において、高齢者又は障害者の日常生活上の世話機能訓練又は療養上の世話等に従事した経験を有する者
  • 外国における看護課程を修了した者又は看護師資格を有する者
  • 外国政府による介護士認定等を受けた者

実習実施者・実習内容に関する要件

  1. 技能実習指導員のうち1名以上は、介護福祉士の資格を有する者その他これと同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者(※看護師等)であること。
  2. 技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を選任していること
  3. 技能実習を行わせる事業所が、介護等の業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務を除く。)を行うものであること。《下記対象施設表参照》
  4. 技能実習を行わせる事業所が、開設後3年以上経過していること
  5. 技能実習生に夜勤業務その他少人数の状況下での業務又は緊急時の対応が求められる業務を行わせる場合にあっては、利用者の安全の確保等のために必要な措置を講ずることとしていること
    (※)具体的には、技能実習生以外の介護職員と技能実習生の複数名で業務を行うことが必要。また、夜勤業務等を行うのは2年目以降の技能実習生に限定する等の努力義務を業界ガイドラインに規定
  6. 技能実習を行う事業所における技能実習生の数が一定数を超えないこと
  7. 入国後講習については、基本的な仕組みは技能実習法本体によるが、日本語学習(240時間。ただし、N3程度取得者は80時間とし、柔軟に設定できる。)と介護導入講習(42時間)の受講を求めることとする。また、講師に一定の要件を設ける。

対象施設
【介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認める施設のうち、現行制度において存在するものについて、訪問介護等の訪問系サービスを対象外とした形で整理をしたもの】(白:対象 緑:一部対象 灰色:対象外又は現行制度において存在しない。)

児童福祉法関係の施設・事業
知的障害児施設
自閉症児施設
知的障害児通園施設
盲児施設
ろうあ児施設
難聴幼児通園施設
肢体不自由児施設
肢体不自由児通園施設
肢体不自由児療護施設
重症心身障害児施設
重症心身障害児(者)通園事業
肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関(国立高度専門医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定するもの)
児童発達支援
放課後等デイサービス
障害児入所施設
児童発達支援センター
保育所等訪問支援
障害者総合支援法関係の施設・事業
障害者デイサービス事業(平成18年9月までの事業)
短期入所
障害者支援施設
療養介護
生活介護
児童デイサービス
共同生活介護(ケアホーム)
共同生活援助(グループホーム)
自立訓練
就労移行支援
就労継続支援
知的障害者援護施設(知的障害者更生施設・知的障害者授産施設・知的障害者通勤寮・知的障害者福祉工場)
身体障害者更生援護施設(身体障害者更生施設・身体障害者療護施設・身体障害者授産施設・身体障害者福祉工場)
福祉ホーム
身体障害者自立支援
日中一時支援
生活サポート
経過的デイサービス事業
訪問入浴サービス
地域活動支援センター
精神障害者社会復帰施設(精神障害者生活訓練施設・精神障害者授産施設・精神障害者福祉工場
在宅重度障害者通所援護事業(日本身体障害者団体連合会から助成を受けている期間に限る)
知的障害者通所援護事業 (全日本手をつなぐ育成会から助成を受けている期間に限る)
居宅介護
重度訪問介護
行動援護
同行援護
外出介護(平成18年9月までの事業)
移動支援事業
老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
第1号通所事業
老人デイサービスセンター
指定通所介護(指定療養通所介護を含む)
指定地域密着型通所介護
指定介護予防通所介護
指定認知症対応型通所介護
指定介護予防認知症対応型通所介護
老人短期入所施設
指定短期入所生活介護
指定介護予防短期入所生活介護
養護老人ホーム(※1)
特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)
軽費老人ホーム(※1)
ケアハウス(※1)
有料老人ホーム(※1)
指定小規模多機能型居宅介護(※2)
指定介護予防小規模多機能型居宅介護(※2)
指定複合型サービス(※2)
指定訪問入浴介護
指定介護予防訪問入浴介護
指定認知症対応型共同生活介護
指定介護予防認知症対応型共同生活介護
介護老人保健施設
指定通所リハビリテーション
指定介護予防通所リハビリテーション
指定短期入所療養介護
指定介護予防短期入所療養介護
指定特定施設入居者生活介護
指定介護予防特定施設入居者生活介護
指定地域密着型特定施設入居者生活介護
サービス付き高齢者向け住宅※3
第1号訪問事業
指定訪問介護
指定介護予防訪問介護
指定夜間対応型訪問介護
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護
生活保護法関係の施設
救護施設
更生施設
その他の社会福祉施設等
地域福祉センター
隣保館デイサービス事業
独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
ハンセン病療養所
原子爆弾被爆者養護ホーム
原子爆弾被爆者デイサービス事業
原子爆弾被爆者ショートステイ事業
労災特別介護施設
原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業
家政婦紹介所(個人の家庭において、介護等の業務を行なう場合に限る)
病院又は診療所
病院
診療所

(※1) 特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)、介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)、地域密着型特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型地域密着型特定施設入居者生活介護を除く。)を行う施設を対象とする。

(※2) 訪問系サービスに従事することは除く。

(※3) 有料老人ホームに該当する場合は、有料老人ホームとして要件を満たす施設を対象とする。

技能実習生の人数枠

受け入れることができる技能実習生は、事業所単位で、介護等を主たる業務として行う常勤職員(常勤介護職員)の総数に応じて設定(常勤介護職員の総数が上限)した数を超えることが出来ない

<団体監理型の場合>

事業所の常勤介護職員の総数 一般の実習実施者 優良な実習実施者
1号 全体
(1・2号)
1号 全体
(1・2・3号)
1 1 1 1 1
2 1 2 2 2
3~10 1 3 2 3~10
11~20 2 6 4 11~20
21~30 3 9 6 21~30
31~40 4 12 8 31~40
41~50 5 15 10 41~50
51~71 6 18 12 51~71
72~100 6 18 12 72
101~119 10 30 20 101~119
120~200 10 30 20 120
201~300 15 45 30 180
301~ 常勤介護職員の20分の1 常勤介護職員の20分の3 常勤介護職員の10分の1 常勤介護職員の5分の3

※ 法務大臣及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行わせる体制を有すると認める企業単独型技能実習も同様

<企業単独型の場合>

  一般の実習実施者 優良な実習実施者
1号 全体
(1・2号)
1号 全体
(1・2・3号)
  常勤介護職員の20分の1 常勤介護職員の20分の3 常勤介護職員の10分の1 常勤介護職員の5分の3

入国後講習の教育内容と時間数について

介護においては、基本的には、技能実習制度本体の仕組みによるが、日本語と介護導入講習については、以下の内容によることとする。
(入国前講習を行った場合には、内容に応じて時間数を省略できる。)

講習内容
科目※ 時間数
日本語【詳細は(1)】 240
介護導入講習【詳細は(2)】 42
法的保護等に必要な情報 8(※1)
生活一般
総時間数 320(※1)

(※1)技能実習制度本体上定められているもの。
総時間数については、第1号技能実習の予定時間全体の1/6(入国前講習を受けた場合は1/12)以上とされている。(320時間については目安として記載)

(1)日本語
教育内容 時間数(※2)
総合日本語 100(90)
聴解 20(18)
読解 13(11)
文字 27(24)
発音 7(6)
会話 27(24)
作文 6(5)
介護の日本語 40(36)
合計 240

(※2)日本語科目の各教育内容の時間数については、上記を標準として設定。()内に記載した時間数が最低限の時間数として求められる。

(2)介護導入講習
教育内容 時間数
介護の基本Ⅰ・Ⅱ 6
コミュニケーション技術 6
移動の介護 6
食事の介護 6
排泄の介護 6
衣服の着脱の介護 6
入浴・身体の清潔の介護 6
合計 42

N3程度以上を有する技能実習生については、(1)日本語のうち「発音」「会話」「作文」「介護の日本語」について合計で80時間以上の受講を要件とする。各教育内容の時間数については、上記と同様。

入国後講習の講師要件について

日本語(※)

(1)大学又は大学院で日本語教育課程を履修し、卒業又は修了した者

(2)大学又は大学院で日本語教育に関する科目の単位を26単位以上習得して卒業または修了した者

(3)日本語教育能力検定試験に合格した者

(4)学士の単位を有し、日本語教育に関する研修で適当と認められるものを終了した者

(5)海外の大学又は大学院で日本語教育課程を履修し、卒業又は修了した者

(6)学士の学位を有するものであって、技能実習計画の認定の申請の日から遡り3年以内の日において日本語教育機関で日本語教員として1年以上従事した経験を有し、かつ現に日本語教育機関の日本語教員の職を離れていない者

(※)「日本語教育機関の告示基準」(法務省入国管理局平成28年7月22日策定)、「日本語教育機関の告示基準解釈指針」に示されている在留資格「留学」による留学先として認められる日本語教育機関の講師要件を基にしている。

介護導入講習

(1)介護福祉士養成施設の教員として、介護の領域の講義を教授した経験を有する者

(2)福祉系高校の教員として、生活支援技術等の講義を教授した経験を有する者

(3)実務者研修の講師として、生活支援技術等の講義を教授した経験を有する者

(4)初任者研究の講師として、生活支援技術等の講義を教授した経験を有する者

(5)特例高校の教員として、生活支援技術等の講義を教授した経験を有する者

監理団体に関する要件

  1. 次のいずれかに該当する法人であること
    1. 商工会議所、商工会、中小企業団体、職業訓練法人、公益社団法人又は公益財団法人
      ※技能実習制度本体上、商工会議所、商工会、中小企業団体の場合は、その実習監理を受ける介護職種の実習実施者が組合員又は会員である場合に限る
    2. 当該法人の目的に介護事業の発展に寄与すること等が含まれる全国的な医療又は介護に従事する事業者から構成される団体(その支部を含む。)であること
  2. その役職員に介護職として5年以上の経験を有する介護福祉士等(※看護師等)がいるものであること
  3. 「介護」職種における第3号技能実習の実習監理及び受入人数枠拡大の可否(いわゆる「介護」職種における優良要件)は、「介護」職種における実績等を基に判断すること